自分や大切な人を傷つけた人間を許すのは、難しいことです。
「幸せの技術」として挙げた中で、場合によっては最も難しいかもしれません。
しかし、苦労せず簡単に得られるものはそれなりであり、苦難の末に手にできる果実は非常に大きなものとなり得ます。
許しは相手のためならず
許すというのは、自分のために行うものであって、自分に被害を与えた相手のために行うことではありません。
恨みや憎しみといった感情を抱え続けることは、一層自分を傷つけることになるからです。
相手を許せないという気持ちや仕返しを考え続けることは、幸福を阻害する反芻思考につながりますが、相手を許した人は、前に進めます。
許した人は、
- 憎しみや敵意を抱く
- 腹を立てる
- 神経過敏になる
- 不安になる
- 落ち込む
といった傾向が少なくなり、逆に、心身ともに健康的になるという研究結果があります。
また、許すことは、
- 人とより親密な関係を築けるようになる
- 人の気持ちがよりわかるようになる
- 人の苦悩への共感力が高まる
- 自尊心が高くなる
といったプラスの効果につながります。
許せるようになるために
自分も許されていることに感謝する
今まで意図的に誰かを傷つけたことはありませんか?
そうでなくても、私たちは知らず知らずのうちに人を傷つけてしまうことはあるものです。
友人や家族、恋人に感じ悪い態度をとったこともきっとあるでしょう。でも、今も関係が続いているとしたら、自分も許されているのです。そのことに素直に感謝しましょう。
許しに役立つ「共感」
自分を傷つけた相手の立場に立って、なぜそのようなことをしたのかを考えてみます。
どういう状況で、どのような感情のもと、自分を傷つけるような言動をとったのか。
理解するのは難しくても、相手に共感してみようとするそのこと自体が許しにつながります。
くよくよ考え続けないこと
「考えすぎない」で書いたように、ネガティブなことを心の中で繰り返し考え続けることは、心身を蝕みます。
怒りや恨みなどのネガティブな感情は反芻していると、消えないだけでなく、増幅してしまうこともあります。
反芻思考をやめることは、許しそのものではありませんが、やがて許すことにつながります。
おわりに
前述のように、自分に被害を与えた人を許すのは難しいことです。しかし難しい分、許せたときに得られるものは大きいでしょう。
許しに特化した書籍も多くあるので、幸せになる方法として「許すこと」を選んだらぜひそのようなものも参考にして、幸福の扉を開いてください。
この本は、健康や心理学、自己啓発に関する一流雑誌の編集主幹を長年勤めた人の著作です。彼女は科学者ではありませんが、深い叡知が詰まった一冊です。 幸福になる技術の一覧ページへ 科学的に実証された、幸せになる方法を集めました
許すことについて参考文献
- ソニア・リュボミアスキー『幸せがずっと続く12の行動習慣』日本実業出版社、2014年