健康と幸福度は深い関わりがあります。
自分の健康についてどのように感じているか。幸福度には、この「主観的健康感」が大いに関係しています。
主観的健康感とは
主観的健康感というのは、「自分で自分をどの程度健康だと思うか」という、主観的な健康度を表す指標の1つです。
健康診断で、血圧の上が140で要再検査だったとしましょう。これは「客観的」な健康度です。
「このくらい何でもない、大丈夫」
「これはひどい!自分はとても不健康だ」
といったように、血圧の数値が同じでも、主観的な健康度は人によって異なります。こうした、自分自身の健康にたいする評価が、「主観的健康感」です。
ある研究では、健康の自己評価が20%低下すると、幸福度は平均して6%下がると推計しています。
主観的健康感と幸福度の関係
客観的な健康指標は、幸福度にあまり影響しない
医師の見解や健康診断といった客観的な健康指標と、主観的健康感には弱い関係しかなく、医師の見解は患者の幸福感にさほど影響しないことがわかっています。
健康に対する自己評価は、ストレスや孤立感、気分の落ち込みなど、明白な身体的兆候としては現れないことも多いことも含めてなされます。
そのため、医学的な検査の結果や医師の診断よりも、「主観的」健康感が幸福度に大きく影響すると考えられています。
人が思うより、自分は健康
また、人には自分で思う以上に、様々な病気や障害に適応する能力があります。
手足を失ったり、四肢が麻痺したりといった重大な障害を負っても、一年以内には生活満足度がその障害を負う前と同程度まで回復する人が多くいます。
健康の自己評価はこのように、適応能力によって適応した結果も反映されるため、他人が思うよりも自身の健康感は高いということが多いのです。
幸福度を長期的に下げる病気
人は大抵の病気や怪我、障害に対して適応し、幸福度を以前にも増して上げていくことができる、すばらしい能力を持っています。
しかし、幸福度に対してネガティブな影響を長く与える病気が、数は少ないのですが、存在します。
- 慢性痛
- うつ病
- 致命的疾病(例:エイズ、がん)
もっとも、これらの病気が個々人に与える影響は、人によって大きく異なります。エイズやがんのような、重大な病気を抱えながら、幸せな素晴らしい人生を送る人は多数います。
このような、逆境に直面しても折れずに、むしろ力強く成長していく人の持つ資質は「レジリエンス」(回復力、再起力)と呼ばれ、注目されています。
幸福度を上げる主体的な健康管理
「主観的健康感」が高いほど幸福度は上がります。
では、主観的健康感を高めるには、どうしたらいいのでしょうか。
主体的健康管理が主観的健康感を上げる
健康管理に主体的に取り組むことで、主観的健康感が高まることが知られています。
自ら積極的に健康管理を行うことで、自分をコントロールできていると感じられ、自尊心がたかまり、自信が持てるようになります。
また、健康管理を継続することで、健康診断の数値が改善したり、体が引き締まってきたり、階段の上り下りが楽になったりといった、良い結果を複数得られます。
このようなことでポジティブな感情を多く経験し、幸福度の上昇につながります。
運動は幸福度を高める
この記事に記したように、幸福度を高める方法として運動は有効です。
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幸せになる技術 ―運動しよう!
幸福度にプラスの影響を与える様々な活動の中でも、運動は特に効果的。でも、一見面倒くさい運動が、一体どのように幸福度を上げてくれるのでしょうか。幸せホルモンを分泌させもする運動と幸福度の関係を知ったらもう運動しないではいられない!?
主体的な健康管理の中に運動を加えることは、大いにプラスになります。
主体的な姿勢は幸福度を高める
そもそも、主体的に物事に取り組むこと自体が、幸福度にプラスに作用します。
また、体重や血圧、血糖値などで目標とする数値を定めて、その実現のために努力することも、幸福度を高めます。
より快適な生活、より充実した人生で、健康に生きるための目標を達成するための努力が、幸福度を高めるのです。
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幸せになる技術 ―目標達成に尽力しよう!
自分の目標を明確に設定し追求している人は、そうでない人よりも成功し、より幸福度が高いことが明らかになっています。目標に向かって努力することで得られるものは?幸福度を上げる目標ってどんな目標は?幸福になる方法はこちらのページで!
幸せな人ほど健康
幸福度と健康感は密接に関係しています。
健康感を高めることが幸福度を高めることを述べてきましたが、幸福な人が健康で長生き、ということもまた真実で、健康と幸福は車の両輪と言える関係にあります。
健康管理に主体的に取り組めば幸福度が上がり、そのことが一層健康感を高めるという、相互作用をぜひ実現しましょう。
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科学的に実証された、幸せになる方法を集めました
主体的な健康管理の参考文献
- タル・ベンシャハー『ハーバードの人生を変える授業』大和書房、2010年
- トム・ラス 、他『幸福の習慣』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年
- ソニア・リュボミアスキー『幸せがずっと続く12の行動習慣』日本実業出版社、2014年