私たちにはネガティブなことにより注意を向けがちな本能「ネガティブ・バイアス」があり、これが時に私たちの幸せを邪魔します。
ネガティブ・バイアスをなくすことはできるのでしょうか?
幸福度アップにつながる、ネガティブ・バイアスとの付き合い方をご紹介します。
ネガティブ・バイアスとは?
人はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすい性質を持つ、ということを表す心理学用語。
ネガティブ・バイアス(ネガティビティ・バイアスとも)は、ネガティブな出来事に対して過剰に反応し、より強く長く記憶にとどめる傾向のことを言います。
これは原始の本能で、大昔私たちの遠い祖先が生きのこるために必要だったサバイバル・メカニズムの1つ。
私たちの祖先は、ちょっとしたことに対しても用心深くなり、いざという時には即座に攻撃をかわすか逃げ出すかといった反応ができなければ、生き残ることができませんでした。
現代では、生き残ることにそこまでフォーカスしなくても大丈夫なようになりましたが、原始の時代に必要だった仕組みはネガティブ・バイアスとして今も残っています。
The negativity bias, also known as the negativity effect, is the notion that, even when of equal intensity, things of a more negative nature (e.g. unpleasant thoughts, emotions, or social interactions; harmful/traumatic events) have a greater effect on one's psychological state and processes than neutral or positive things.
ネガティブ感情のポジティブな役割
ネガティブ感情は気持ちの良いものではありませんが、なくならないし、なくすべきではありません。
ネガティブ感情がもともと持っている役割としては、
- 危険を察知する
- 心の働きを制限して、目の前の危機に対処する
といったものがありますが、これ以外にも私たちの人生でポジティブな影響をもたらすことがあります。
変化や成長を引き起こす
トラウマや危機的体験で私たちはダメージを受けますが、その際に得るネガティブ感情は、その後私たちが考え方を大きく変化させたり、成長したりするきっかけとなります。
本当の自分を知る
ネガティブ感情によって私たちは、自分の意識を内側に向け、本当の自分との対話へと導かれます。すると自分が無理をしていたり、自分の感情を無視していたりすることに気付けるようになります。
社会生活における好影響
ネガティブ感情を経験して、その感情に対処することは、対人関係で好影響をもたらすことがあります。同じような辛い思いを経験している人への理解が深まる共感、思いやりの他、謙虚さ、道徳的な配慮などを身に付けられることがあります。
ネガティブ・バイアスにブレーキをかける方法
ネガティブ・バイアスが好影響をもたらすことがあるとしても、ネガティブ・バイアスが効きすぎていると、幸福度は上がりません。
放っておくと優位になってしまうネガティブ・バイアスが働きすぎないように、ブレーキをかける必要があります。
ネガティビティ・バイアスはなくなせませんが、意識の向け方を少し変えて、ネガティブ・バイアスの働きを少し抑えるトレーニングをしましょう。
ネガティブな出来事に意味を見出す
私たちにはネガティブ・バイアスがあるため、物事のネガティブな面をより意識してしまいがちです。
しかし、ネガティブ感情を抱いた出来事の中にも、ポジティブな面が意外と隠れていたりします。
同じ出来事に対して、ポジティブ感情を持つかネガティブ感情を持つかがしばしば人によって異なるように、どのような感情を持つかは、私たちの解釈次第です。
日々起こることについて、もしネガティブに解釈しているならそれに気づいて、ポジティブな言葉で表現しなおし、ポジティブな意義を見出すことでポジティブにとらえる努力をしましょう。
ネガティブな出来事に意味を見出す方法
以下のそれぞれについて書き出します。
- 最近起きた嫌なこと
- 嫌だった点
- 抱いた感情
- 良かった点はあったか?
- 良かった点を書き出した今の気持ち
- 嫌だった出来事の、真の意味は?
真の意味は、今すぐにはわからないかもしれません。
いつかわかる日がきたら、それはポジティブな変化、成長です。
ポジティブ感情を増やす
ネガティブ・バイアスにブレーキをかけるには、ポジティブ感情を増やすのも良い方法です。
ポジティブ感情を増やすには、例えば以下のような方法があります。
いずれもすごく難しいことではありません。
ぜひ1つずつ習慣化して、ネガティブ・バイアスが働きすぎないようにするスキルを身に付け、幸福度を上げていきましょう。