感謝することが習慣になっている人、自分の状況を当たり前と思わず、感謝の気持ちをもって受け入れる人は、幸福度が高いことが明らかになっています。
この記事では、幸福度を高める効果のある感謝の方法を紹介します。
感謝する方法
幸福度を高める効果のある感謝の方法には以下のものがあります。
- 感謝を直接伝える
- 感謝日記
- 感謝の手紙
- サンキューカード
以下、これらの方法について具体的に解説していきます。
感謝を直接伝える
一日に「ありがとう」を何度言っていますか?
道や電車、勤務先の通路であなたが通りやすく配慮してくれた人に、お礼を言えていますか?
多大な労力に対してだけではなく、こうした小さなことにも気が付いて「ありがとう」と言うがとう」と言う回数の多い人ほど幸福度が有意に高いという調査結果があります。
してもらうことが当たり前ではないことに気が付き、ちょっとした親切や細かな配慮に感謝し、できるだけその感謝の思いを伝えるようにしましょう。
伝えたあなたはもちろん、感謝された人も幸福感が高まります。
感謝日記
感謝日記の実証実験
心理学者のロバート・エモンズさんとマイケル・マッカローさんの両氏は、実験の対象者を2つのグループに分けて、一方には特に何も指示せず、もう一方にはちょっとしたことでもいいので感謝することを毎日5つ書かせるという実験を行いました。
毎日感謝することを数分間考えたグループは、何もしなかったグループに比べて、人生をより肯定的に評価できるようになっただけでなく、ポジティブな気分が増して幸福感が高まり、さらに、よく眠れるようになり、意志が強くなり、運動も積極的に行うようになって、エネルギッシュかつ楽観的になり、身体的な不調も減るという結果になりました。
感謝日記をつけることで、ポジティブな変化がたくさん起きたのでした。
参考:Robert Emmons and Michael E. Mccullough "Gratitude in Practice and the Practice of Gratitude"
感謝日記の方法
step.1 感謝を書き留める場所を用意
手帳や日記、アプリ、感謝日記用のノートなど、感謝を書き留める場所を用意します。
step.2 毎日感謝を書き出す
毎日3つから5つ、感謝することを書き留めます。
感謝の内容は、ちょっとしたことでも何でもOK。
なかなか思いつかないようだったら、今の生活で恵まれている点を考えてみてください。例えば昭和20年以前の日本や、現在安全な飲み水の手に入らない国と比べたらどうでしょうか。普段気にしていない部分で、意外と大きな恩恵をいつも受けていることに気付くのではないでしょうか。
何も思いつかないとしても、感謝日記を書いているということは、「今この瞬間生きている」ということに感謝できるはず。
step.3 感謝を継続する
最低1週間、できれば3週間続けてみましょう。3週間続けられると習慣化できる確率が上がり、また継続することで幸福度が一層上がります。
「今日書く感謝は何かな」と意識しながら過ごすと、以前なら見逃してしまっていた良いことに気付きやすくなります。
自分が感謝できること、自分の人生でありがたく思うこと、改めて気が付いた自分にとって大切な人、誰かがしてくれたことなどを、感謝日記にどんどん書き留めていきましょう。
ポイント
おざなりに書くのではなく、感謝の気持ちを改めて思い起こして、書いていることを再び経験しているように感じながら書くようにしましょう。
意識を向けるものは拡大します。
感謝の手紙
日本ではしばしば、結婚式では新婦による両親への、卒業式では生徒による学校や親への、葬儀では身内や親しい人による故人への手紙が読み上げられ、その中には大抵感謝の思いが含まれています。
しかし、そのような儀式以外で感謝の気持ちを手紙に書き伝えたことのある人は、ごく少数はではないでしょうか。
感謝の手紙の実証実験
ポジティブ心理学創始者であるマーティン・セリグマン、クリストファー・ピーターソンの両氏は、感謝の手紙をたくさん扱ってきた人です。
お二人は、感謝を伝える手紙を学生に書かせ、それを相手に届けて読み上げさせるという実験を行いました。感謝をしたほうもされた方も、幸福感がとても高まり、しかもその効果が長期にわたって持続するという結果が得られました。
クリストファー・ピーターソン博士は、手紙を受け取る側も送る側も満足するという点で、感謝の手紙には100%効果があるとその著作で断言しています(クリストファー・ピーターソン『ポジティブ心理学入門』)。
感謝の手紙の方法
step.1 感謝の手紙を書く
両親、祖父母、兄弟姉妹、配偶者、友人、学校や塾の先生、部活や習い事の指導者・先生など、特別に親切にしてもらったのに、一度も感謝の気持ちを表したことのない人はいませんか?
その中の一人に、感謝の手紙を書きましょう。
なぜ感謝しているのか、具体的に書きます。
step.2 感謝の手紙を渡す or 送る
書き終えた感謝の手紙は、できれば相手に直接手渡して、あなたの目の前で相手に読み上げてもらいます。
それが無理なら、手紙を投函するか、Eメールかファックスで送るなどして、その後に電話してフォローします。
メモ
感謝の手紙を送ることで、幸福感は確実に作り出すことができますが、この幸福感の効果が数週間程度しか続かないことも研究結果から明らかになっています。
感謝の手紙で幸福度を上げ続けようとするなら、感謝の手紙を一生の間毎週書いて送り続ける必要があります。しかし、それを実行できる人はごく少数でしょう。
感謝で幸福度を上げる場合には、感謝日記など継続しやすいものを実践しつつ、時折感謝の手紙も書いていくのが良いかもしれません。
サンキュー/サンクスカード
組織内のコミュニケーション活性化とそれに伴う好影響を期待して、サンクスカード(サンキューカード)を導入する企業・団体が増えています。
社員・職員同士で感謝し合ったり褒め合ったりすることで、組織内コミュニケーションの活性化を図り、モチベーションや生産性の向上が期待されています。
サンクスカード(サンキューカード)というと、結婚式や二次会で新郎&新婦から出席者に配られるお礼のカードを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ここでいうサンクスカードはそれとは異なります。
名刺大のカードに手書きで書くといったアナログな手法での導入事例は十年以上前からあるようですが、近年では、専用のアプリなどクラウドで運用できるツールが増えてきました。
デジタル化されたサンキューカードであれば集計等管理の手間が大幅に省けることから、導入に前向きな組織が増えていると考えられます。
サンキューカード(サンクスカード)の幸福度への影響についての研究はまだ見たことがありませんが、所属人員の幸福度アップに寄与する可能性はあるのではないでしょうか。
参考
この記事の参考文献には、感謝を習慣にするためのヒントも書かれています。また下記書籍は感謝研究の第一人者による感謝の練習帳です。
日本人によるものでは、佐藤伝氏の著作もあります。
※佐藤伝氏は科学者ではありませんが、行動習慣化についてはわかりやすい良著を多数書かれているので紹介します。