ハピネススタディで幸せになろう!幸福学の研究成果に基づき、幸せになるために必要な技術を集めています。

幸福・幸せ研究室

幸せになる技術 ―瞑想しよう!

人が幸せになる上で、瞑想が様々な点において有効であることが、多くの研究によって明らかにされてきました。

感情と脳研究の第一人者が、瞑想は「やるべき」と言い切るほど、その効能は明らかで絶大。

瞑想は私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。
また、瞑想の幸福への影響とは?

幸福度を高めるためにぜひ取り入れたい瞑想についてまとめました。

瞑想とは

一説によれば、5000年にも及ぶ長い歴史があるとされる瞑想。

長い歴史の中で、集中瞑想、マインドフル瞑想、観想瞑想等、様々なカテゴリの瞑想が生み出されてきました。方法も、ヴィパッサナ瞑想、禅の瞑想、超越瞑想など、色々な方法があり、東洋の宗教(ヒンズー教、仏教、道教)は、「瞑想による精神性の向上」を中核に据えています。

辞書的には、

目を閉じて深く静かに思いをめぐらすこと。
心を静めて神に祈ったり,心を一つに集中すること。

参考:コトバンク「瞑想」

といった意味があります。

瞑想の効果

人が幸せになる上において、瞑想がいかに重要であるかということについては、数多くの研究があります。

感情と脳の研究の第一人者であるリチャード・デビッドソン博士は、瞑想は「やったほうがいい」ではなくもはや「やるべき」と言い切っています。

瞑想の効果としては、例えば

  • 生理機能改善
  • 認識能力向上
  • 健康向上
  • 自己実現
  • 道徳的な成熟
  • ストレス低減

といったことが明らかにされています。
瞑想をすると、なぜこのような変化が起きるのでしょうか。

瞑想で「幸せな脳」になるための機能を向上

人間の脳は、左側前頭前野の活動が右側前頭前野に比べて活発であるほど、幸福を感じることがわかっています。そして瞑想が、そのような状態を作り出すことも明らかにされてきました。

※画像はこちらからお借りしました。

前方の前頭葉 (frontal lobe)に位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。

出典:前頭前野|脳科学辞典

ある研究によると、長時間の瞑想経験者と、瞑想経験のない人たちの脳の機能を比較すると、脳の部位の働きに大きな差がありました。それは脳の中でも、幸福感と結びつく場所だったのです。

この研究がきっかけで「世界一幸せな男」と呼ばれるようになったマチウ・リカールという人物がいます。彼はフランス知識人夫婦の子として1946年に生まれ、自身もエリート街道をまっしぐらで将来を嘱望されていたにもかかわらず、26歳で出家してチベット仏教僧となった人です。

彼は長年の瞑想経験によって、左側前頭前野の活動を高め、右側前頭前野の活動を鎮静化させるという能力を得ました。自ら幸福感を生み出し、その幸福感を感じ取るスキルが高いのです。

マチウ・リカールさんの著書

瞑想が脳の構造変化をもたらす

前述のように、瞑想経験の豊富な人の脳は、機能が向上するだけでなく、脳の構造そのものが変わります。皮質と呼ばれる脳の表面部分の厚みが増すのです。

1万時間を超える瞑想実践者の脳の皮質で、特に厚みが増していると推定されているのは、こめかみの内側に入り込んだ「島皮質」という部分と、前頭葉の一部です。

この変化により、直感が磨かれたり、他人に共感したり、といった能力や、注意力・集中力をコントロールする力が高まると考えられています。

原始時代向きの脳から、現代向きの脳へ

私たちの脳は、原始時代と変わらない

ホモ・サピエンスが登場したおよそ25万年前から、私たちの脳はあまり変化していません。しかし、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。

このことが現在、大きな問題を引き起こす原因となっています。

危険だらけで法律も警察もない時代に繁栄し生き残るのにふさわしいのは、カッとなりやすく、用心深く怖がりで、疑い深い人でした。

現代の環境は原始とは全く違うにも関わらず、原始時代に適応した脳の特徴は相変わらず私たちの脳の中にあり、色々な出来事に対して過剰に反応してしまいます。

例えば、学校や仕事でのトラブルを、命にかかわる重大事のようにとらえて自分を追い詰めてしまい、本領を発揮できず、悪くすると心身まで病んでしまう、といったことが起きます。

変化し続ける環境に対して、変わらない脳。
このギャップで、私たちは時に苦しい思いをします。

瞑想で現代向きの脳にバージョンアップ

原始向きのままの脳を、現代向きに進化させる方法の一つが、瞑想です。

瞑想の実践を積み重ねると、様々なストレスに対して、過剰に反応しないように脳は変化します。瞑想を繰り返し実践することで、現代のストレスフルな状況にあっても、冷静に最適な選択をできるようになるのです。

周囲の状況に対して原始的な反応をするのではなく、現代にふさわしい、幸せに近づく行動をとれるようになっていきます。

究極のリラクゼーションによる心身の癒し

瞑想を行うと、私たちが普段の生活の中で、いかに様々な思いの中に浸っていきているかがよくわかります。

仕事や家事をしていても、心の中に色々な感情が去来します。そのほとんどが実は、自分が意識的に考えようとしていることではなく、自然と湧き出てくるもの。

瞑想では、まずこのことに気が付くのが最初の一歩と言ってもいいかもしれません。

後で紹介するマインドフルネス瞑想では、次々に浮かんでくる果てしない思考や感情を同じように扱い、それらにも注意をむけます。

呼吸から注意が離れていることに気付き、「今の自分はこのことが気になっている」と自分の思いを客観的に観察したら、その思いを手放してまた呼吸に注意を戻します。

「思い」を手放し、「思い」から解放されて見えてくるのは、ありのままの自分。自分の思いは単なる思いにすぎず、自分自身でもなければ、現実でもありません。

様々な思いや感情を観察して手放すトレーニングを積み重ねていくと、深いリラクゼーションと心の平穏が訪れ、心身共に癒されていきます。

瞑想によって高められる「集中力」による効果

瞑想によって著しく高まるのが「集中力」です。

瞑想を実践し続けると、注意力を制御することができるようになります。気を散らすようなことが周りで起きても、注意を維持し、仮に気が逸れても、容易に戻すことができるようになります。

情報が氾濫する現代においては、注意力を制するものが勝つとも言われています。

注意力が散漫だと、何かを成し遂げることは難しくなります。しかし、ひとつのことに意識を集中できれば、より大きな成果を上げることが可能となります。

それを可能とするのが、瞑想です。

また、リラックスした状態で集中すると、生産性や創造性が高まります。瞑想はリラックス効果も大きいため、集中力を効果的に高めるには最適の方法です。

瞑想によって集中力を高めることは、

といった、他の幸せになる方法にも深く関わっています。

瞑想の方法

前述の通り、5000年も前からある瞑想には、色々なカテゴリの、色々な方法があります。

ここでは、マインドフルネス瞑想のプロセスをごく簡単に記しますが、きちんと取り組むのであれば、書籍を購入する、講座で学ぶ、などの方法をおすすめします。

マインドフルネス瞑想

ポイント

椅子に浅く腰かけ、自分にとって心地よい姿勢
目は軽く閉じるか、半開きくらいで視線は下の方へ
顎は軽く引き気味

マインドフルネス瞑想の最も基本的な瞑想は、以下の繰り返しです。

  1. 呼吸に注意を向ける
  2. 注意がそれる・雑念がわく
  3. 注意がそれたことに気付く
  4. それた注意を呼吸に戻す、雑念を手放す

簡単と言えば簡単ですが、これを一日10分、毎日続けられる人はあまりいないかもしれません。瞑想は幸せになる大きな一歩となり得ます。瞑想の習慣化は大いにおすすめです。

瞑想の参考書

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