ハピネススタディで幸せになろう!幸福学の研究成果に基づき、幸せになるために必要な技術を集めています。

幸福・幸せ研究室

幸せになる技術 ―強みを活かそう!

あなたは自分の強みを知っていますか?

自分の強みを知り活かしている人は、幸福度が高く、かつ成功に近付きやすいということがわかっています。

弱みを克服するよりも、強みを伸ばす方が良いのでしょうか?

この記事では、強み&弱みと幸福度について解説します。

成功者は自分の能力を知り、強みを活かす

成功する人は高い目標を設定して、人並み以上の努力をしている、と思われがちです。

しかし研究によると、成功する人は自分の能力を把握していて、現状の力で達成できることを少し上回る程度の目標を設定しているのに対して、失敗する人は自分の能力レベルについての自覚が薄く、現実的ではない高い目標を設定しがちであるということがわかりました。

また成功する人は、自分の才能や強みを認識していて、その上にライフスタイルやキャリアを築きます。自分の才能をさらに伸ばし、自分に合う役割を担い、生活のあらゆる場面で自分の強みを活かす方法を考え出します。

一方弱みについては、克服するのではなく、うまくコントロールします。

強みにまつわる効果、メリット

強みは、ポジティブ心理学の主要テーマの一つです(ポジティブ心理学についてはこちら⇒)。

「ポジティブ心理学の祖父」「強みの心理学の父」と呼ばれるドナルド・O・クリフトンをはじめとする心理学研究者により、自分の強みを知って活かすことの効果やメリットが明らかにされてきました。

強みを知ることは、人生のプラスの側面を理解する一助となります。また、単に精神的に病んでいないというだけではなく、精神的に健康であることを示してくれます。

強みを知って活かさない理由はない、と言い切れるほど、自分の強みを知って活用することは、充実した人生にとってとても重要です。

強みを活かすことで生まれる効果

自分の特徴的な強みに気付かせることは、ポジティブ心理学の主なゴールの一つです。

強みを活かすことには例えば、

  • ストレスを感じにくくなる
  • 楽観性が身に付く
  • レジリエンスが生まれる
  • 高揚感が得られる
  • 自信や自尊心が高まる
  • 生命力やエネルギーが高まる
  • 方向性が明確になる
  • 集中力が高まる
  • 能力を発揮できるようになる
  • 目標を達成しやすくなる
  • 人生への洞察力や展望が養われる

このような効果があります。

自分の特徴的な強みに関することは上達が早く、その強みを使いたいと切望するようになり、その強みを活かすときにはエネルギーがわいてきて、動機づけがなされます。

自分の強みを活かしている人は、困難に直面しても乗り越えやすく、精神的に落ち込んでも回復が早くなります。

自分の特徴的な強みに気付き、それを仕事や趣味、人間関係、家事育児など、生活の中の様々な場面で活かせれば、強みはさらに磨かれます。

その結果、自分が自分以外の誰かや世の中のために貢献できれば、得られる満足感は一層大きくなり、人生はますます充実していくでしょう。

強みを伸ばすことで生まれる好循環

ある種の強みを伸ばすと、レジリエンスの能力が高まったり、精神障害を和らげたりすることもわかっています。例えば、

  • 楽観主義:うつ病を改善
  • フロー:薬物乱用を防止
  • 労働倫理、社交性:統合失調症を緩和

といったことがあります。

そのため、強みへの働きかけを心理療法の基本とする研究者もいるし、良いセラピーは傷を癒すだけではなく、緩衝作用のある強みを構築するアプローチも採用しています。

自分の強みを知ろう

あなたの強みは何ですか?

と問われて、即答できる人はあまりいないかもしれません。

得意なことや好きなことはあるけれど、それが自分の強みと言えるかどうか自信がない、自分の強みがわからない、という人は多いのではないでしょうか。

強みのない人はいません。

自分の強みが今思い当たらないとしても、それは強みがないということではないので、以下に挙げるテストでご自身の強みを測定してみてください。

強みを測定するツールとして主要なものを3つご紹介します。

VIA-IS

ポジティブ心理学の創始者たちによって開発されたもので、24の強みを測定します。

開発者のマーティン・セリグマンとクリストファー・ピーターソンは、多くの心理学者とディスカッションを重ね、また心理学のみならず哲学等多分野の文献をも調査し、強みの指標を24に絞り込みました。

VIS-IS公式ウェブサイト:https://www.viacharacter.org/

このサイトで無料で受けることができます(有料版もあります)。

120び設問に答えると、24の強み全てがランキングされます。その上位5つが、自分の特徴的な強みです。

所要時間は約20分。

日本語でも見られますが、自動翻訳なので適当に解釈して読んでください。

VIA-ISで測定する24の強み

好奇心/学ぶ意欲/大局観・知恵/創造性・独創性/クリティカル思考/勇敢さ/忍耐力/誠実さ/熱意/愛/親切・寛容さ/思いやり/チームワーク/公平さ/リーダーシップ/自制心/慎重さ/謙虚さ/寛大さ・慈悲/美的センス/スピリチュアリティ/希望・未来志向/感謝/ユーモア・遊び心

ストレングス・ファインダー

ギャラップ社のストレングス・ファインダーでは、強みを34に分類しています。

「ポジティブ心理学の祖父」「強みの心理学の父」と呼ばれるドナルド・O・クリフトンとエドワード・アンダーソンが考案したもので、世界中の何千人もの一流の人々に聞き取り調査を行い、仕事で最もよく使われる才能・強みを抽出、34に絞り込みました。

CliftonStrengths公式ウェブサイト:https://www.gallupstrengthscenter.com

公式ウェブサイト上でもテストは完結します。

この書籍を購入した上で、上記ウェブサイトでテストを受ける方法もあります。個人的にはこちらの方がわかりやすいように思います。

いずれも有料です。

ストレングス・ファインダーで測定する34の強み

実行力:アレンジ/信念/公平性/回復志向/慎重さ/目標志向/規律性/責任感/達成欲

影響力:コミュニケーション/指令性/最上志向/活発性/社交性/競争性/自己確信/自我

人間関係構築力:ポジティブ/個別化/共感性/包含/成長促進/親密性/調和性/運命思考/適応性

戦略的思考力:内省/分析思考/原点思考/収集心/学習欲/戦略性/未来志向/着想

強みについての考え方はVIA-ISとは少し異なっていて、強みの基礎は才能、と捉えています。ここで言う「才能」とは、自然と繰り返される思想、感情、行動のパターンで、多くの分野で適用できる、物事を行う能力のこと。

この才能を磨き鍛えて「強み」を発達させ、適切に利用していくことで素晴らしい結果が生まれる、というわけです。

ストレングス・プロファイル(旧リアライズ2)

CAPP社が開発しました。

イギリスであっという間に広がった「リアライズ2」をベースにしたもので、強みの種類は60。「活用されている強み」「もっと活かせる強み」などに分類して提示されます。

公式ウェブサイト:https://www.strengthsprofile.com/en-gb

最も基本的な「Introductory Profile」が10ポンド、60ある強みの種類全てについて知るには30ポンドの「Expert Profile」を購入する必要があります。

注意

上記のテスト結果が100%正しいとは限りません。強い思い込みや偏見が反映されることもあります。

また、強みを伸ばし過ぎることが害になることもあるので、バランスは大切です。

仕事で強みを活かすことのメリット

ギャラップ社のある調査では、自分の最も得意とすることをする(=自分の強みを活かす)機会が毎日あるかという質問に、「そう思わない」と答えた人の中に、仕事に意欲的で生産的な人は一人もいなかった、という衝撃的な結果が出ました。

それに対して、自分の強みを生かして仕事をしている人は、弱みに意識を向けて仕事をしている人に比べて、はるかに意欲的かつ生産的に仕事に打ち込む傾向があり、さらに、「生活の質がとても高い」と答えています。

仕事で強みを活かすことは、

仕事が楽しい

仕事が楽しいものとなるための要件の中で、「自分の強みを使う機会が毎日あること」は最も重要なことと考えられています。

自分の弱みや失敗に意識を向けるよりも、自分の得意なことこと、自分の資質を発揮できることに意識を向ける方が、人は日々の生活の中で多くのことを学び成長できるからです。

朝から生き生き

仕事で自分の強みを生かすチャンスに日々恵まれ、強みを磨いて成長していると、毎朝期待とともに目覚めることができます。

また、自信と希望にあふれ、他人を思いやる余裕も持っています。

仕事に熱意を持っている人は、朝仕事を始めた瞬間から仕事を終えるまでの間、幸せだと感じる度合いと、仕事に対する興味関心の度合いが大幅に高いということも明らかになっています。

自分の強みを活かして仕事をしている人は、週40時間の業務時間を楽しんでいるのです。

仕事への熱意で健康状態が向上

仕事が楽しく、朝から生き生きできることは、健康状態にも影響します。

血中脂質

仕事に熱意を持つと身体的な健康度が高まることを示すデータがあります。仕事に対する熱意が増すと、血中脂質のレベルが著しく減少するのです。

逆に、仕事に対する熱意が低下するに従って、血中脂質は増加します。

心臓疾患

スウェーデンで約3000人を対象に行われた調査では、自分の上司を無能だと思っている人は、そうでない人に比べて、深刻な心臓疾患の罹患リスクが24%高いという結果が出ました。

さらに、自分が無能だと評価している上司のもとで4年以上仕事を続けると、心臓病のリスクは39%にまで上がります。

うつ病

ギャラップ社の調査では、仕事に熱意を持てない人は。仕事に熱意を持っている人に比べて、2倍の比率でうつ病に罹患していました。因果関係は明確になっていませんが、仕事への熱意や仕事の幸福度とうつ病の発症に何らかの関係があると言えるでしょう。

長寿

米ギャラップ社が1958年に行ったある調査では、人が90歳以上まで生きるかどうかは、仕事の幸福次第であることが明らかになりました。

1950年代のアメリカでは、男性は平均65歳で引退していましたが、95歳以上まで長生きしている人は、平均80歳まで働き、しかもその93%の人が「仕事に非常に満足していた」「仕事がとても楽しかった」と答えていました。

仕事において日々体験することが、私たちの健康に直接的に影響する可能性が示されています。仕事における幸福度を高めることは、私たちを健康に導くと言えます。

仕事で強みを活かせない場合のデメリット

仕事で強みを活かせない人は終業時間と週末を待ち望む

自分の強みを活かせずに仕事をしている人が元気に働けるのは週20時間まで。その後は働けば働くほど疲れてしまいます。

仕事への熱意が低く、仕事の幸福度が低い人は日中のストレスレベルが高く、終業時間が近づくとストレスレベルが徐々に下がっていき、逆に幸せだと感じる度合いが上がっていきます。

仕事に熱意を持っている人の幸福度が平日と休日でさほど変わらないのに対して、仕事に熱意を持っていない人は、平日は物事への興味関心も幸福度も非常に低く、高ストレスレベル。

仕事に熱意を持てない人は、月曜の朝からずっと、金曜の終業時間を待ち望み、週末のために生きているようなものです。

強みを発揮できない場合のデメリットリスト

職場で自分の強みを発揮する機会に恵まれない人の、仕事への意欲や生産性は、強みを発揮する人の6分の1程度に止まります。

なおかつ、以下のような状況に陥ってしまうことも。

  • 仕事へ行くのが不安
  • 同僚との関わりは消極的
  • 顧客を大切にしない
  • 勤務先の悲惨さを友人に語る
  • 日々の達成率は低い
  • 考えが後ろ向きで、非創造的

強みを活かせないと、仕事だけでなく人間関係や健康にも影響が及び、幸福度が上がらないどころか下がってしまいます。

危険な上司のタイプは「部下に関心を示さない上司」

ギャラップ社の調査によると、「自分の上司は、部下である自分に関心を持っていない」と感じる人は、仕事の熱意を失う危険性が高いという結果が出ています。

行動経済学分野の調査によると、多くの人は「上司と一緒に過ごすくらいなら自宅で家事をしている方がマシ」と感じているそうですが、中でも「部下に関心を示さない上司は最悪」と言えるでしょう。

逆に、上司が部下の強みに意識を向けている場合、そのチームで職場に不満を持つ人の割合は1%にまで下がります。

仕事の幸福度は人生の幸福度に大きく影響

仕事は、楽しいものではなく、やりたくなくてもやらなければならないもの。多くの人がこのように思っています。

どのように認識しても、それは個々人の自由なのでいいのですが、このように思っていることは非常にもったいないことです。

私たちは多くの時間を仕事に割きます。日々最も多くの時間を費やしていることが、私たちを形作るものの核となるからです。

ここでは、学業、会社勤め、個人事業、家事、育児、ボランティア活動など、日々最も多く時間を費やしているものや、情熱を持って取り組んでいるものを「仕事」とします。

人生全体の幸福を考えたとき、仕事の幸福はとても重要です。

ギャラップ社の調査によると、仕事の幸福度が高い人はそうでない人に比べて、「自分はすばらしい人生を送っている」と思う割合が2倍にもなることがわかりました。

仕事の幸福度が高いことのメリットは大きい

仕事の幸福度が高いと、人生の目的(自分の使命)がはっきりしていて、それを達成するための中間目標もはっきりしています。

目標に向かって尽力することには多大なメリットがあり、一層幸福度が高まります。

幸せになる技術 ―目標達成に尽力しよう!

また、仕事の幸福度の高い人は、仕事の幸福度が低い人よりも、仕事もプライベートも充実していて、人間関係も良好です。

仕事をしている時間に、喜びや達成感などのポジティブな体験を積み重ねることは、人生全体の幸福度を高めるのです。

主参考

トム・ラス、ジム・ハーター『幸福の習慣』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年

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