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ポジティブ心理学とは?その歴史や研究テーマ等についてまとめ

投稿日:2019年5月7日 更新日:

ポジティブ心理学のイメージ画像

ポジティブ心理学は、人の幸福≒ウェルビーイング(良い人生、心身共に健康な生き方)や繁栄について研究する学問です。

1998年の提唱以来大きく広がり、ハーバード大学ではポジティブ心理学の授業が毎期1000人もの学生を集める大人気授業となりました。

ポジティブ心理学の研究成果は、ビジネスや教育、医療の現場などで広く応用されています。もちろん日常生活の中で実践していくことも可能です。多くの人に、生活や仕事の中で活かして、幸福度を上げていってもらうのがこのウェブサイトの目的です。

この記事では、ポジティブ心理学を概説的にまとめました。

ポジティブ心理学とは何か?

心理学は長い間、人間の精神疾患等ネガティブな側面に重点を置いてきました。

それに対して、ポジティブ心理学では人間のポジティブな側面に着目し、「病気ではない人生」ではなく「より価値のある有意義な人生」を生きるために必要な事柄について研究します。

人間が最大限に機能するための科学的研究であり、個人や共同体を繁栄させる要因の発見と促進をめざす学問

Martin E. P. Seligman & Mihaly Csikszentmihalyi "Positive Psychology: An Introduction" in American Psychologist 55(1):5-14 · February 2000

ポジティブ心理学とは、私たちが生まれてから死ぬまで、またその間のあらゆる出来事について、人生でよい方向に向かうことについて科学的に研究する学問である。

ポジティブ心理学とは、心理学において新たに命名されたアプローチであり、人生を最も生きる価値のあるものにする事柄を研究の主題として、真剣に取り組む学問である。

クリストファー・ピーターソン『ポジティブ心理学入門』

人間の生活におけるポジティブな側面、つまり幸福やウェルビーイング(よい生き方、心身ともに健康な生き方)、繁栄について研究する学問

イローナ・ボニウェル『ポジティブ心理学が1冊でわかる本』

ポジティブ心理学とは、私たち一人ひとりの人生や、私たちの属する組織や社会のあり方が、本来あるべき正しい方向に向かう状態に注目し、そのような状態を構成する諸要素について科学的に検証・実証を試みる心理学の一領域である、と定義されます。

ポジティブ心理学とは|JPPA|日本ポジティブ心理学協会

ポジティブ心理学(ポジティブしんりがく、英語: positive psychology)とは個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野である。精神疾患を治すことよりも、通常の人生をより充実したものにするための研究がなされている。

ポジティブ心理学|Wikipedia

ポジティブ心理学の始まり

ポジティブ心理学は、当時アメリカ心理学会会長だったマーティン・セリグマン博士によって1998年に提唱されました。

ポジティブ心理学以前

前述の通り、心理学のテーマは長い間、精神疾患の原因や治療など、問題の解決や人のネガティブな側面に重点が置かれていました。

19世紀後半における心理学の創始以降、ポジティブなテーマも心理学の研究対象でした。第二次世界対戦以前に心理学に課せられた役割は、

  1. 精神疾患の治療
  2. 日常生活の向上
  3. 優れた才能の育成

と考えられており、普通の人の人生を充実させることや天才や才能豊かな人についても関心が寄せられていました。

しかし第二次世界大戦によって空前の規模で多くの人々が危機に直面し、国や大学の財源は精神疾患の治療や精神病理の研究に集中して注ぎ込まれます。そのため、心理学は主に「精神疾患のための学問」となってしまいました。

そのため、精神疾患に対する理解や治療、予防については多大な発展がありましたが、人がより良い生き方をするためにはどうしたらいいのか、という側面についての科学的な研究がほとんどなされませんでした。

ポジティブ心理学の誕生

ポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマン自身も、精神疾患に関する心理学の功績を認めています。

しかし彼は、「心理学には、問題を解決する面だけでなく、プラスの面を伸ばす肯定的な側面もあるはずだ」と考え、理モデルに偏ってきた心理学研究の不均衡を正して、人間の弱さと同じくらい強さにも注目し、最悪の状態を修復するのと同じくらい最高のものを築き上げることに関心を持ち、苦悩のどん底にある人のこころを癒すのと同じくらい健康な人の人生を充実させることに注意を向けようと提唱しました。

普通の人が日常的な環境の中でより豊かで実り多い人生を送っていくために、心理学の知識を用いてその最適な方法や手段について研究する時が来た、というわけです。

Martin Seligman - The new era of positive psychology|TED2004

右下にある吹き出しのアイコンで(TEDのサイトで見る時には「Transcript」で)日本語訳を表示できます。

ポジティブ心理学と類似のもの

心理学以前

現代においてポジティブ心理学が追究している、

幸せとは何か?
幸せを追求することは可能か?
良い生き方とは何か?
意味のある人生とはどんなものか?

といった問いは、古くは古代ギリシアの哲学者や、中国の孔子や老子といった思想家によってもなされ、深い思索や議論、洞察等が書物に残されています。

人間性心理学との違い

1940~60年代には、アブラハム・マズローらが中心となって人間性心理学の分野でポジティブ心理学と同じ現象が研究されていましたが、人間性心理学は定性的(性質の様子や変化など、数字で表せないこと)な分析に力点が置かれていたことに対して、ポジティブ心理学では定量的(数値を用いた)に分析します。

人間性心理学とポジティブ心理学では、扱うテーマは類似していますが、実証するための手法が異なっています。

ポジティブ・シンキングとの違い

ポジティブ・シンキングは「積極思考」とも呼ばれるもので、自己啓発本の多くがこの思考の影響を受けており、現代社会に広く定着しています。

このポジティブ・シンキングとポジティブ心理学はしばしば混同されますが、全く異なるものです。

ポジティブ・シンキングとは端的に言うと「前向きに物事を考えればそれは実現し、人生はうまくいく、という考え方」。前向きな考え方は大変結構ですが、学術的にその有効性やモデルが研究・確立されているとは言えず、多くの弊害も指摘されています。

ポジティブ・シンキングに偏る考え方には注意が必要です。

積極思考(せっきょくしこう、英: positive thinking ポジティブ・シンキング)は、なんでも前向きに物事を考えればそれは実現し、人生はうまくいく、という考え方、物事の良い面を見ようと努め、ポジティブな姿勢を保ち、「思考そのもの」を変えることで現実を変えることを目指す思考法である。

積極思考|Wikipedia

おばあちゃんの知恵袋との違い

ポジティブ心理学による発見は、私たちが日々の生活の中で見出してきた常識的なことと大差ないと思われることもあります。

例えば、「人間関係はとても大切」「人はお金では幸せになれない」「目標を持つべきだ」など。

では、親や学校の先生などから幼い時分より何度となく聞かされてきたことに対して、ポジティブ心理学が科学的な裏付けを与えているだけかといえば、そうではありません。

ポジティブ心理学では、昔ながらの知恵についても研究して体系的に分類していますが、人々が自分を本当に幸せにしてくれるものが何かということを意外なほどわかっていないということも明らかにしています。

「happiness」と「well-being」
ポジティブ心理学で追求する「幸福・幸せ」

ポジティブ心理学が追求するのは、英語で言う「well-being」です。

直訳すれば「良い状態」。
「精神的・肉体的・社会的にいい状態」を表す言葉です。

「happiness」は、人生の幸福から楽しくウキウキするような感情までと大変広いのですが、「happy」と言うと「ごきげん」のイメージが強く、ドラッグやお酒でも得られる感情でもあります。

「happiness」は日本語に訳す際「幸せ」「幸福」と訳されることが多くありますが、日本語の「幸福」には「ハッピーな気分」以上の意味があります。

このウェブサイトで「幸福」と言う場合は「well-being」を指しますが、日本語以外の言語で書かれた著作の訳文については、訳者や出版社の意向により異なります。

ポジティブ心理学の範囲と階層

ポジティブ心理学で研究の対象とする範囲は広く、多くの心理学者が様々な分野で色々なテーマを専門的に研究しています。

テーマの例

幸福、心の健康、フロー、超越、強み、美徳、感情、楽観性、コーピング、マインドセット、モチベーション、知恵、創造性、リーダーシップ、集団・組織、選択、時間、エイジング、心的外傷後成長、逆境からの立ち直り、レジリエンス、忍耐力、人間関係、愛、思いやり、結婚、ヘドニック・アプローチ、ユーダイモニック・アプローチ、コーチング

広範囲なテーマは、以下の3つの枠組みに分けられます。

主観的範囲 ―ポジティブな主観的経験

研究対象は、ポジティブな体験。「良い行いをすること」「よい人間であること」よりも、「良い気分を感じること」に焦点を当てます。

研究テーマの例

喜びなどの感情、ウェルビーイング、幸福感、快感、満足感、充実感、フロー、楽観性 など

個人的範囲 ―ポジティブな個人的特性

「良い人生」を構成する要素や、「良い人間」であるために必要な資質を研究します。

研究テーマの例

強みとしての徳性・美徳、未来志向性、天才性・才能、対人スキル、愛する能力、レジリエンス、勇気、忍耐、許し、困難への対処法、PTG、価値観 など

社会的範囲 ―ポジティブな制度

個を超越して「良い社会」や「良い組織」を創っていくために必要な要素について研究します。社会人としての人格の向上や、共同体・組織の発展に寄与する要素です。

ポジティブな制度は、ポジティブな特性の発達や発現、ポジティブな主観的経験を促します。

研究テーマの例

家族、学校、職場、共同体、社会
それら集団における道徳、社会的責任、教育、利他主義、礼節、寛容、労働倫理 など

ポジティブ心理学の代表的な研究者

ポジティブ心理学で対象とされるテーマが膨大なぶん、研究者も大勢います。

中でも代表的なのは、ポジティブ心理学の提唱者であるマーティン・セリグマン、幸福研究の第一人者エド・ディナーやイローナ・ボニウェル、ポジティブ心理学の権威クリストファー・ピーターソンの他、

「フロー」のミハイ・チクセントミハイ
「持続可能な幸福」を追求するソニア・リュボミアスキー
「成功と幸福」のショーン・エイカー
「ポジティブ感情」のバーバラ・フレドリクソン
「勇気」のロバート・ビスワス=ディナー
「幸福」のタル・ベン=シャハー

といった著名な心理学者らがいます。

ポジティブ心理学について参考

ポジティブ心理学入門 「よい生き方」を科学的に考える方法 [ クリストファー・ピーターソン ]

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書評:クリストファー・ピーターソン『ポジティブ心理学入門』⇒

ポジティブ心理学が1冊でわかる本 [ イローナ・ボニウェル ]

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