ハピネススタディで幸せになろう!幸福学の研究成果に基づき、幸せになるために必要な技術を集めています。

幸福・幸せ研究室

幸せになる技術 ―ストレス対処法を身に付ける

ストレスは人生につきもの。順風満帆でストレスの全くない人生はなく、どんな人にも逆境や災厄はふりかかります。

大切な人との死別、職場での人間関係、異常に暑い夏、理不尽な出来事・・突然これらのようなことに見舞われた時、どのように考え、どのように行動するかということは、「どれくらい幸せになれるか」に大きく関わっています。

この記事では、幸福になる技術としてのストレス対処について解説します。

ストレスとは

外部からの刺激などよって体の内部に生じる反応のこと。その原因となる外的刺激(ストレッサー)も含めてストレスと呼ばれる。

ストレス | e-ヘルスネット 情報提供

ストレスの要素は3つ!

ストレスは、以下の3つで構成されています。

  1. ストレッサー
    私たちに与えられる刺激で、ストレス反応の原因となります。
  2. 認知(評価・解釈)
    ストレッサーに対して、私たちはなんらかの認知(評価・解釈)を加えます。
  3. ストレス反応
    認知のあり方によって生じます。

この3つの構成要素に自覚的に対処することが、「ストレスコーピング」です。

ストレス対処「コーピング」とは

ストレスの基(ストレッサー)にうまく対処しようとすることを、ストレスコーピングといいます。

ストレッサーによって過剰なストレスが慢性的にかかると心身へのさまざまな悪影響が考えられるため、健康を維持するにはうまくストレスコーピングすることが必要になります。

ストレスコーピング | e-ヘルスネット 情報提供

「cope」には「問題に対処する、切り抜ける」という意味があります。

幸福にはこのコーピングが大きく関わっていて、困難に直面した時の考え方や行動がとても重要です。

3タイプのコーピング

コーピングの分類のし方はいくつかありますが、ストレスの3つの構成要素に沿って以下の3タイプで考えると理解しやすいです。

  1. 問題焦点型コーピング
    ストレス構成要素の1番目、ストレッサーそのもの=ストレスのおおもとに働きかけて、解決を図ろうとするもの。
    例えば、対人関係がストレッサーである場合、相手に直接働きかけて問題を解決しようとします。
  2. 情動焦点型コーピング
    ストレス構成要素の2番目「認知」を変えることで対処しようとするもの。
    ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、ストレッサーに対する考え方や感じ方を変えようとします。
    例えば、誰かの気に障る発言について前向きにとらえる、自分なりの意味を見出す、などです。
  3. ストレス解消/発散型コーピング
    ストレス構成要素の3番目「ストレス反応」を取り除こうとするものです。
    例えば、運動する、瞑想する、誰かに愚痴を聞いてもらう、など。

使えるコーピングをたくさん持ち、使い分ける

困難な出来事や状況に対処し、乗り越えていくには、使えるコーピングをたくさん持ち、状況に応じて柔軟に使い分けることが大切です。

これまで何気なく、もしくは意識的に行ってきたストレスへの対処法、コーピングを書き出してみましょう。

大きな困難に見舞われた時や、ストレス反応が強く出た時に、自分がやりやすいコーピングが何かあらかじめ分かっていると対応しやすくなります。

また、多くの人が無意識にストレス緩和策を講じますが、ストレスコーピングは問題焦点型・情動焦点型・ストレス解消型いずれの場合にも、自覚的かつ戦略的に行うことが大切です。

幸福度を上げるコーピングのポイント

心理学では一般的に、ストレッサーが何らかの対処によって変えられる場合は問題焦点コーピング、ストレッサーを変えられない場合は情動焦点型やストレス解消型コーピングやが適当であると考えられています。

ストレッサーを減らす

問題焦点型のコーピングです。

幸福度に影響するストレスは、事故や天災のような、避け難い大きなものに限りません、満員の通勤電車や、日々のワークライフバランスの悪さが幸福度を下げることは、多くの研究から明らかになっています。

ストレスは、認知に働きかけるだけで対処できるものばかりではありません。特に慢性ストレッサーを減らすことは、取り組むべき有効な方法のひとつです。

ストレスで心身を病まないために、また幸福度を上げるために、ストレスの原因となるストレッサーを減らすことも重要です。

近年「働き方改革」の一環として、長時間労働の是正やリモートワークの導入などが日本でようやく広がりつつあります。これが当たり前の社会になってほしいものです。

参考

ストレッサーは以下の3つに分けられます。

  1. 人生上の出来事、ライフイベント
    突然起こる大事件や天災、愛する人の死、離婚など
  2. 日常の苛立ち事
    満員の通勤電車、交通渋滞、職場の人間関係など
  3. 慢性ストレッサー
    日々の長時間残業、サービス残業、可能な範囲を大幅に超えた業務量、不安定な雇用、絶え間ない騒音や振動など

認知を変える

情動焦点型のコーピングです。

認知を変えてネガティブ感情を減らし、ポジティブ感情を増やしていくことで、幸福度アップにつながります。

幸福度を上げるネガティブ感情の対処についてはこちら⇒

認知の変え方には色々な種類がありますが、代表的なものを3つご紹介します。その時々の状況と自分に合うものを選び活かしましょう。

  • 説明スタイル:楽観的な考え方を身に付ける:詳しくはこちら⇒
  • ABCDEモデル:ネガティブ感情を紐解く
  • トリプルカラム法:「認知の歪み」から解放される

また、「幸福になる技術」のページで紹介している技術の中には、認知を変えるコーピングとして利用できるものもあります。

例えば、

などです。

ストレス反応を減らす

主に、運動やおしゃべりなどの「気晴らし型」、瞑想やヨガなどの「リラクゼーション型」に分けられます。

幸福になる技術」のページで紹介している技術の中には、ストレス解消型のコーピングとして利用できるものもあります。

例えば、

などです。

立ち直りが早い人に学ぶストレス対処

大きなストレスによって精神的に落ち込んでから元の水準に回復するまでの期間は、ひどく落ち込み、回復するまでに何年もかかる場合もありますが、立ち直りが早い人もいます。

立ち直りが早い人たちには、共通する特徴がありました。これらの特徴は、後天的に身に付けることができます。

立ち直りが早い人に習って、回復を早める術を身に付けましょう。

立ち直りが早い人たちの特徴としては、以下のようなものがあります。

感情が複合的

ネガティブな状況の中でもポジティブ感情を持ち続けます。

無意識に、もしくは意図的にポジティブ感情を呼び出せるため、ネガティブ感情に支配され押しつぶされてしまうことがありません。

ネガティブ感情に対して相対的にポジティブ感情を高めるには、以下のような方法があります。いずれも幸福度を上げる技術として紹介しているものです。

レジリエンスが高い

事前にあまり心配しすぎず、仮に失敗しても立ち直りが早い傾向があります。

レジリエンスとは,困難で脅威を与える状況にもかかわらず,うまく適応する過程や能力,および適応の結果のことで,精神的回復力とも訳される。

レジリエンス|コトバンク『最新 心理学事典』

簡単な表現としては、逆境に負けない「折れない心」などとも言われるレジリエンス。

もともとは環境学で生態系の環境変化に対する復元力のことを指す言葉として使われていましたが、現在ではもっぱら心理学の分野で「精神的な回復力」を示す言葉として使われています。

自己効力感が高い

ポジティブ感情が相対的に多く、自尊心や自信も持ち合わせていて、何かあっても対処できるだろうと考えています。

自己効力感を高めるポジティブ感情について⇒

マインドフルネス

目の前の現実に集中して対処します。

起こってしまったことについてくよくよ繰り返す考えたり後悔し続けたりするのではなく、目の前の現実を認め、受け入れ、改善・解決するために集中して対処することで、逆境を乗り越え、立ち直り、より強く成長します。

マインドフルネス瞑想について⇒

自分の持つものや周囲の助けを上手に利用する

「利用する」と書くと語弊があるかもしれません。

より丁寧に表現するなら、自分に既に与えられている何らかのモノや人間関係が、逆境の乗り越えや困難からの立ち直りの助けとなってくれる、ということです。

立ち直りの早い人は、無意識もしくは意識的に、自分のいる環境を当たり前として受け止めず、感謝し、大切にしています。

そのため、逆境や困難にある時にはそれらがリソースとなって、立ち直りを支えてくれます。

その他、ストレス対処について知っておきたいこと

もがき奮闘し、成長するPTG(ポスト・トラウマティック・グロース)

困難に遭遇した後、それ以前よりも強くなる人がいます。困難を乗り越えた後、回復するだけでなく、以前よりも成長し、以前にも増して生き生きするようになるのです。

悲劇や苦悩の後に見られるこの現象は「心的外傷後成長(PTG:Post Traumatic Growth)」と呼ばれます。

相当な苦悩を伴うことであり、簡単なことではありませんが、困難を受け止め、立ち上がろうと努力することで、得られるものには大きな価値があると言えるでしょう。

PTGについて詳しくはこちら⇒

「書く」ストレス対処 ―ふりかえりと意味付け

トラウマとなる過去の出来事について、心の中にある感情を書き出すと、多くの恩恵があるということが明らかになっています。例えば、通院の回数が減る、免疫力が上がる、落ち込みが減る、勉強や仕事の成績が上がる、等。

書くことは、トラウマを理解して受け入れられるようになり、その出来事の意味を真に知ることにつながります。また、感情や思考を記録することで、内側に溜め込んでいた澱を除くことができ、そのことについてあまり考えなくなるという効果もあります。

また、ストレスフルな経験に対して、自分はうまく処理するような戦略をとれたのか?ふりかえって評価することは、様々な気づきの獲得につながります。

ストレスに対処に必要だった資源が、意外と自分の内部にあったとか、周りの人は思ったより親切だったとかとか、そういったことを通して、ストレス対処を行う力をより強めていけるのです。

ストレス対処を推し進める力「SOC」を育む

ストレス対処を推し進める源となるものに、首尾一貫感覚(SOC:Sense of Coherenece)があります。

首尾一貫感覚とは、自分の今生きている世界が首尾一貫している、筋道が通っている、腑に落ちる、という感覚です。

この首尾一貫感覚を育むことで、ストレスに対処する力をつけていくことができます。

SOCについて⇒

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科学的に実証された、幸せになる方法を集めました

ストレス対処について参考文献

  • B!