幸福については大昔からたくさんの人が言及してきました。
いつ頃、どんな人が、何を言ったり書いたりしてきたのでしょうか。
このページでは、それらを時系列でまとめました。
目次
紀元前5世紀 ― 紀元前3世紀
アリスティッポス
快楽論
エピキュロス
快楽論
ソクラテス
「人がよいと思うこと」と「世間が欲していること」を一致させられれば幸福になる。
プラトン
個人主義的幸福観の先駆け的主張
アリストテレス
『ニコマコス倫理学』で「ユーダイモニア」を提唱。
「達成しうるあらゆる善のうち最上のもの」が「ユーダイモニア(幸福)」であると説く。
20世紀
1940~60年代 人間性心理学 ―アブラハム・マズロー
多くの心理学者が精神疾患を研究する一方、1940年代からマズローらを中心として、人間のポジティブな側面に焦点を当てる研究が行われるようになり、「人間性心理学」が誕生しました。
人間の行動の細部や異常な面にこだわらず、自己実現や至高体験といった人間特有の現象を追求し、健康で成熟した人の性質の考察や、幸福や有意義な人生を実現している人の研究に向かいました。
しかし論文はあまり実証的ではなく、人間性心理学の学会誌も刊行されましたが、人間のポジティブな面を研究しようという動きは学問としては当時は心理学界に浸透しませんでした。
後に、ポジティブ心理学やコーチング心理学などが、人間性心理学の原理や方法を継承・補完するものとして提唱され、近年特に注目されています。
1950~60年代 認知革命
1950年代に研究方法の革命的な転換「認知革命」が起こります。認知科学と呼ばれる学問領域群を生み出した知的運動です。心理学、言語学、人類学といった複数の学問で、人の知的活動を情報処理の視点から解明しようとする研究が同時多発的に現れました。
心理学の分野では、それまで30年以上にわたって心理学研究の支配的な存在だった行動主義に対する批判的な立場として認知心理学が誕生。行動を通して認知の仕組みを探る(行動主義)のではなく、認知のメカニズムについて直接仮定を立ててその妥当性を探るのが特徴です。
1974年 イースタリン・パラドックス
リチャード・イースタリンによって、収入が増えても幸福度が上がらないという「イースタリン・パラドックス」が提唱されました。
以後、経済学の領域で幸福、幸せの研究が盛んに行われていきます。
1980~90年代
認知革命を経て、幸福感や愛が再び心理学の研究テーマとして受け入れられるようになります。幸福感と愛着の実証的研究は、1990年代からは人格心理学と社会心理学で最も人気のあるテーマとなりました。
1998年 ポジティブ心理学の誕生
アメリカの心理学者マーティン・セリグマンによって提唱されました。
うつではないことや恐怖症がなくなること自体は、人生の最終目標とはなりません。ポジティブ心理学では、多くの人が充実した人生を送ることを最終目標として、その過程を研究し、実践に移していく学問領域です。
幸福感、希望、共感、至高体験、想像力、自尊心、感謝など様々なテーマが研究され、この20年超の間に急激に成長しましたが、幸せは人生の万能薬ではないとして批判的な立場をとる人もいます。