日々の生活の中で感じる「ちょっといい気分」の効果は意外と大きく、積み重なれば人生や将来を変える力となります。
「いい気分」を度々味わえるように工夫して、ポジティブ感情をたくさん経験しましょう。
そうして形成されるポジティビティは、私たちをより良い未来へと導いてくれます。
目次
「いい気分」の効果は意外と大きい
「つかの間もたらされる心地よい精神の状態」は、一般的に認識されているよりも、はるかに大きな効力を持っています。心身にいい変化をもたらし、よりよい人生を作り出すことにつながるのです。
出典:バーバラ・フレドリクソン『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』
例えば、何かを行う際に、「今までで最も嬉しかったこと」を思い出すなどして脳をポジティブな状態にして取り組むと、成功したり、効率よく運べたりといった成果に結びつくことが様々な研究で明らかになっています。
「いい気分」「ささやかな幸せ」を積極的に取り入れる企業
社員がちょっとした幸福感を味わうたびに、ポジティブ感情が生じて創造性が高まり、新たなアイディアが浮かぶ可能性が高まる。
このことに注目して、社員が就業中の幸福感を「少し高める」工夫を取り入れる企業が増えています。
例えば、ペット同伴の出社。Google、アマゾン、ハフィントンポストなど、誰もが知る有名企業では、社員がペットを連れて出社することが許されています。
人はペットと見つめ合うだけでもオキシトシンの分泌が増え、ストレスレベルが下がります。
中央ミシガン大学で行われた、犬がいる会社といない会社での社員の態度などについて研究によると、犬が1匹いるオフィスの従業員は協力的で、コミュニケーションが円滑となり、親しみやすくなる傾向があったとのこと。
その他、社内にテーブルサッカーゲームを置いていたり、マッサージパーラーを設けたりという会社も。
「いい気分」を味わえる楽しい職場は、重要な結果に結びつきます。社員の幸福感を高めて、ネガティブな状態や普通の状態では見逃すような解決策に気付き、会社全体としては一層業績を伸ばしていくことになるでしょう。
ポジティブ感情を高めるのは、ちょっとしたことでいい
そうはいっても、すべての会社でペット同伴を許可したり、社内でゲームができるようにするのは難しいことでしょう。
朗報があります。
ほんのちょっとしたことで「いい気分」を味わうことはできるのです。
医師に対して行ったある実験があります。
医師を3つのグループに分けて、ポジティブ感情が診断に与える影響を調べたところ、意図的に幸福感を高めたグループは創造性が高まり、最も良い結果を出しました。
幸福感を高めたグループでは、特に何もしなかったグループに比べて、2倍の速さで正しく診断できた上に、最初に浮かんだアイデアに捕らわれてしまう思考の硬直性は半分以下。
このように良好な成績を出した医師たちの幸福感を高めたのは、1つのキャンディでした。
会社として大掛かりなことができなくても、この1つのキャンディような、「ちょっといいこと」を従業員が度々経験できるような工夫をしましょう。
ポジティブ感情を生み出す環境づくり
身の回りの物理的な環境は、私たちの心の持ちようや幸福感に、意外と大きく影響します。
すべてを完全にコントロールすることはできませんが、幸福感を高める工夫はできます。
医師がキャンディで幸福感が高まったように、ちょっとした工夫でいいのです。
その例をいくつかご紹介しましょう。
好きな写真をよく見る場所に置く
見ると幸せな気分なる写真はありますか?
家族やペットの写真、楽しかった旅行の思い出など、見ると気持ちが安らぐような写真を、よく見る場所に置きましょう。
PCモニタのすぐ横に置く、パソコンのデスクトップ背景や携帯電話の待ち受け画面に設定するなどして、一日に何度でも見て良い気分になりましょう。
デスクやよくいる場所を楽しくする
もし職場で許されるなら、デスクに好きなキャラクターの人形を置いたり、ミニ観葉植物を置いたり、文房具を自分のラッキーカラーにするなどしましょう。
居間によくいるのであれば、居間に好きな絵やお気に入りの小物を飾りましょう。家具やインテリアを好みのものだけにするのも◎。
長い時間を過ごす場所を、自分の気分を上げてくれるもので満たすことで、「ちょっといい気分」を度々味わえます。
ポジティブ感情を生み出す香り
香りは感情を左右します。
アロマオイルなどを使って、その時にふさわしい香りで空間を演出するのも有効です。
例えば、元気になりたいときにはペパーミント、レモン、ローズマリー、レモングラスなど。
リラックスしたいときには、ジャスミン、ベルガモット、ローズ、シダーウッドなど。
最近は、リラックス効果で職場の生産性を高めるアロマオイルも販売されています。職場でアロマの使用が可能なら、このようなものを導入するのも良いかもしれません。
気分を落とすものを遠ざける
楽しいもので気分を上げる一方で、ネガティブな感情が起きないように環境を整えることも大切です。
例えば、殺人事件など悲劇的な報道の多いテレビ番組は見ないなど。
ネガティブな内容のテレビ番組、特に暴力的な番組を見ないようにすると、幸福度が高まるという研究結果もあります。
テレビを見る時間が少ない人は、犯罪や悲劇的な内容の多い夜10時のニュース番組を毎晩見ている人に比べて、私たちの生活がどれくらい危険であるかという判断がより正確にできるそうです。
悲劇的な報道を多く目にしていると、認識が歪んでしまうのです。
まとめ
「ちょっといい気分」そのものはそんなに長くは続きませんが、「いい気分」がもたらすポジティビティは長期間にわたって良い結果をもたらします。
大きな変化を生じさせて持続する幸福を目指すことが重要な局面もあるかもしれませんが、私たちが日々抱く感情はもっと注目されるべきであり、一日を通して気分を良くして幸福度を上げていきましょう。