信仰や信念の拠り所となる宗教や、精神的な支えとなる確固としたものがある人は、そういったものがない人に比べて、より健康で、幸せであることがわかっています。
目次
宗教の効用
宗教は、幸福度にはプラスに作用します。
信仰心のある人とない人で、悲劇的な出来事が健康や幸福に与える影響に差があるか、といった研究が積み重ねられた結果、信仰のある人の方が健康で幸福度が高いことが明らかになりました。
信仰のある人の方が概して健康的で、たとえ何らかの病気を持っていたとしても死亡率が低く、長寿であることがわかっています。また、信仰心の深い人は、犯罪に手を染めたり、自殺したりすることが少ない傾向があります。
それには、以下のようなことが関係していると考えられています。
1. 人間関係による支え
どのような宗教でも、大抵の場合コミュニティがあり、そこには人との関わり合いが存在します。
例えば、身内を亡くすようなことがあったとき、そのコミュニティの所属人員から温かい言葉がかけられるなどの、社会的支援が得られます。
また、同じ宗教を信仰する者同士が集まることで一体感を覚えるなど、人との関わりにおいて幸福度へのプラスの作用が大きいと考えられます。
2. 出来事に意味を見出す
宗教の教えの中には、悲劇的な出来事にも意味を見出すような教えがしばしば含まれています。神との関係においては、すべてのことに意味があるという考え方が大切であることも。
そのため信仰があると、自分の人生や仕事には目的や意義があり、価値あるものだという意識を持ちやすくなります。また、悲劇的な出来事が起きたときにも意味を見出せ、悲劇的な出来事を受け入れ、立ち直りやすくなります。
3. 道徳的で健康的な行動
信仰心のある人の方が概して道徳的で、健康を害する行為を行いにくいということがあります。
節度ある行動を心がけ、例えば、深酒、麻薬の濫用、乱交といった、健康を脅かすような行為に走らず、自分の体・健康を大切にするのです。
スピリチュアルについて
スピリチュアル、すなわち精神的なものは、信仰にも通じるものがありますが、スピリチュアルと信仰は同一のものではありません。
スピリチュアルは「聖なるものを求めること」であり、特定の宗教を信仰することではなく、人間よりも大いなる存在を通して、人生の意味を見出すことと言えるでしょう。
神や仏を信じていなくても、何らかのものを神聖化している人たちがいます。何かを神聖化することで、意欲や意義、満足感が得られるのです。
中にはお金を搾り取るだけのサービスもあるので要注意ですが、内面的なものを大切にするのは、幸福度を上げる上では大切なことです。
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科学的に実証された、幸せになる方法を集めました
信仰、スピリチュアルについて参考
- デレック・ボック『幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会』東洋経済新報社、2011年
- ソニア・リュボミアスキー『幸せがずっと続く12の行動習慣』日本実業出版社、2014年