人の幸せには、「セロトニン」というホルモンが深く関わっています。
「幸せホルモン」という別名を持つセロトニンの適度な分泌が、幸福度アップには欠かせません。
そのカギを握るのが、朝の太陽です。
太陽の恵みを最大限活かして、セロトニンをコントロールしていきましょう!
目次
三大神経物質の一つ、セロトニン
人の考えや行動は、脳内の物質に左右されます。
セロトニンは、「ノルアドレナリン」「ドーパミン」と並んで、人の精神面に大きな影響を及ぼす「三大神経物質」の一つ。
いずれも人が生きていくのに大切な役割を持っていますが、ストレスなどの影響でノルアドレナリン神経が暴走すればストレスに押しつぶされるし、ドーパミン神経が暴走すれば依存症になったり短絡的に結果のみを求めるようになったりしてしまいます。
そのような状況にブレーキをかけ、精神の落ち着きを取り戻す役割を果たすのがセロトニンです。
セロトニン神経が活性化すると、ドーパミンやノルアドレナリンの働きは適度に保たれ、心の状態を安定させられるようになります。
逆にセロトニンの不足はうつ病などの精神疾患の原因になると考えられています。
セロトニン神経を活性化させることのメリット
心により安定した状態をもたらすセロトニン。
セロトニンを分泌するセロトニン神経を活性化させると、具体的には以下のようなメリットがあります。
- 朝の目覚めが良くなる
- 明るく元気で穏やかになる
- 少々のことでは動揺しなくなる
- 集中力が高まる
- 気持ちの切り替えができ、考えすぎ、反芻思考を止めやすくなる
- 全身の筋肉や肌に張りが出るなどアンチエイジング効果
- 痛みが緩和される、少々の痛みは気にならなくなる
このようにセロトニンは、幸福度アップに欠かせないポジティブを感情を高め、幸福度を下げるネガティブ感情を和らげる働きをします。
また、慢性痛は幸福度を下げる要因となりますが、この慢性痛を緩和するのにも役立っています。
日光浴はセロトニン神経の活性化に不可欠
セロトニン神経を活性化させる方法には、
- 日光浴
- リズミカルな運動(ウォーキング、ジョギング等)
- 呼吸法
- 瞑想
といった方法がありますが、中でも人の生活に欠かせないのは日光。
人は何万年も前から、日の出とともに活動を始め、夜は休んでいました。人の体と脳は、太陽が昇ると活動するようにできていて、その仕組みは現在の私たちも変わりません。
セロトニンの分泌には、朝の過ごし方がとても大切なのです。
日光が覚醒を促す
日光の刺激でセロトニン神経は活性化します。
光は目から入りますが、太陽を直視する必要はありません。外のまぶしい光の中にいれば、目から間接的に光が入ってきます。
家の中の蛍光灯などが100~200ルクス。
明るいオフィスでは500ルクスくらい。
この程度ではセロトニン神経は反応しません。
セロトニン神経の活性化には、2500から3000ルクス以上の強烈な光が必要で、外に出るのがベストです。ちなみに太陽の照度は1万ルクス以上あるので、曇っていても十分だそうです。
なお、ウォーキングやジョギングのような、一定のリズムで行う体の動きを5分以上継続すると、セロトニン神経は活性化します。
15~30分程度の朝の散歩は、セロトニンの分泌に最適な習慣です。
セロトニンと睡眠の関係
日光浴で体内時計をリセット
日光浴には、体内時計のリセットという大切な役割もあります。
地球の一日の周期は24時間ですが、人間の体内時計では1日25時間。朝日を浴びないと、地球の1日と体のリズムが少しずつずれていってしまいます。
これをリセットするのが、朝の日光浴です。
夜になると、睡眠に不可欠の「メラトニン」というホルモン分泌されるのですが、このメラトニンの分泌が増加するのが、朝日を浴びてからおよそ14~15時間後。
夜11時~12時頃に就寝するには、朝9時までに朝日を浴びて体内時計をリセットしましょう。
朝のセロトニンが夜の良い睡眠をもたらす
日没後、メラトニンを十分に分泌するには、その材料であるセロトニンが欠かせません。セロトニンが日中に十分に分泌されることが、夜の睡眠に不可欠なのです。
昼間はセロトニン、夜はメラトニン、というホルモン分泌がうまくまわることで、良い睡眠と良い目覚めをもたらします。
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参考:文部科学省|健康なくらしに寄与する光 2 光の治療的応用―光による生体リズム調節―
セロトニンを分泌させる日光浴のポイント
やりすぎは逆効果
日光浴は、15分から30分程度で十分です。
やりすぎるとセロトニンは却って減ってしまうので、日光は浴びすぎることのないよう、時間は適当に調整しましょう。
ジョギングなどの運動も、適度を心がけること。
やりすぎは逆効果です。
季節が違えば浴び方も変わる
夏は、日光の刺激だけでセロトニン生成には十分であるということが示唆された実験があります。
夏に、運動の時間や強度を冬季と同程度に行ったところ、セロトニンが却って減ってしまったのだそうです。
夏は太陽が近く、日の光が強く明るいので、それだけで十分にセロトニンを生成でき、暑い中無理して歩いたり走ったりする必要はなく、適度に心地よい程度の日光浴をすれば良いと考えられます。
冬の間は逆に、日の光が弱めです。さらに、地域によっては曇りがちで明るさは不足気味。
照度が足りなそうな時期には、日の光を浴びる時間を夏よりは長めにとりましょう。
セロトニンは貯金できない
セロトニンは、体内に蓄積できません。
昨日たっぷり日光浴をして運動もしたから、しばらくは何もしなくてもいいだろう、というわけにはいきません。
朝、日光浴と散歩で作られたセロトニンは、血液に混ざって全身を周り、尿に混ざって排出され、一日の終わりにはかなり少ない状態になっています。
何らかのストレスがあれば、さらに少ない状態です。
寝ている間、セロトニンは分泌されないので、朝起きた時にはセロトニンは欠乏状態。
毎日、毎朝、太陽の光の中でセロトニン神経を活性化させる必要があります。
強い光を放つ照明器具もある
部屋が西北向きの上、ベランダがない。
簡単には外に出られない。
といった状況で、日の光を浴びることができない環境であれば、光療法に用いられる器具が役立つかもしれません。
光療法とは、季節性のうつ病やある種の睡眠障害の改善に有効とされる治療法で、人工の高照度の光を浴びて行います。
以前は高価でしたが、最近では比較的お手頃な価格のものが出回り、楽天やアマゾンで購入できます。
朝食も見直して
朝の習慣に日光浴を入れるついでに、朝食の見直しもおすすめです。
朝食は抜かず、毎朝食べること。
その際、よく噛むことも大切です。
セロトニン神経は、噛むことで一層活性化します。
セロトニンの材料となるトリプトファンを豊富に含む大豆・豆製品・乳製品と、セロトニンの合成に必要となるビタミン6を豊富に含む玄米・小麦胚芽、牛、豚、鶏レバーなどは、3食の食事に積極的に取り入れていきましょう。
いい天気の日は外に出よう!
ある研究では、いい天気の日に外で20分間過ごすと、ポジティブな気分が高まるだけでなく、思考の幅が広がり、作業記憶が改善されるという結果を報告しています。
オフィスワークが一日続く人も、休憩時間には外に出ましょう。
明るい中を歩いたり、日光浴したりしながら、新鮮な空気の中で深呼吸すれば幸福度がきっと上がります。
おわりに
幸福度につながる習慣や行動を突き詰めていくと、結局、ホモ・サピエンスが誕生して以来、どのように過ごしてきたかということと、どのような進化を遂げてきたかということに尽きることが度々あります。
この記事にまとめた日光浴も、ホモ・サピエンスの進化と習慣そのものと言っても過言ではないでしょう。
毎朝、時間と心にゆとりを持って起き、朝日を浴びながら楽しく散歩したいものです。
現代に生きる忙しい私たちにとっては、難しいことかもしれませんが。